コラム
小水力発電運用の系統連系の課題
2020年3月23日 文 スタッフ-hayashi
環境問題の関心から最近では風力や太陽光などの自然エネルギーを用いた発電方法の導入が盛んに行われています。
欧米なんかだと特に積極的ですね。
小水力発電もその中に入りますが導入に際して結構問題があります。
今回は日本における
小水力発電の課題について解説したいと思います。
系統連系の現状
発電所から電気を送るには送電線を使って行われています。
発電所と送電線(電力網)をつなぐことを系統連系と言います。
日本は停電が少なく電気もコンセントにさすだけで使えることから一見簡単なようにも思えるかもしれません。
しかし電気というものは非常にデリケートなため細心の注意を払って運用しています。
そのため発電所と系統連系するにも以下の基準を満たす必要があります。
・発電出力が
50KW 未満で逆潮流がない場合は、
低圧配電線と連携することができる。
・発電出力が
2000kW 未満の場合は、
高圧配電線と連携することができる。
そのほかにありますが小水力発電の発電出力ですと上記の二つのうちどちらかを満たす必要があります。
上記2つを要約すると
逆潮流(妨害波のようなもの,ノイズ)対策をして低圧配線(100または200v)に流すか、
逆潮流対策なしで高圧配線(6.6kv)に流すことができると言い換えることができます。
課題
今後開発されるであろう小水力発電設備は用水路、砂防ダムなどに設置されることが多くなると考えられるため発電した電気の自家消費は不可能です。
そのため上記の連携要件を満たすには
低圧配線に系統連系するには逆潮流対策が必要となります。
具体的には1度コンバータを使って発電した電気を直流電流にし、その後インバータを用いて直流電流を交流電流にするため変換・逆変換装置が内包されている低圧連携盤が必要になります。
また高圧配線に系統連系する場合でも発電時の電圧では足りないため昇圧変圧器と高圧開閉器(スイッチ)を収納した高圧連携盤が必要となります。
高圧配線の場合はさらに
単独運転検出機能を持つ装置か転送遮断装置が必要となります。
これらの装置の設置費用が余計に掛かるため設備設置の費用がかさみ小水力発電の
コストパフォーマンスは悪くなりやすいことが課題とされています。
まとめ
現状の規制では小水力発電の価格が高くなりエネルギー効率は良いものの元々発電出力が高いわけではないためどうしてもコストパフォーマンスは悪くなってしまいます。
しかしこれからの小水力発電は用水路や砂防ダムなど電力系統の末端に位置する場所に作られることが多くなると思われるため
要件の緩和が期待できるのではないかと考えられています。