YStudio

Ystudio フェイスブック Ystudio ツイッター ユームズ・フロンティア ライン@

コラム

売電と自家消費のメリットとデメリット

2020年4月18日   文 スタッフ-hayashi

Tweet


売電 自家消費 小水力発電


小水力発電は、2012年7月からスタートした再エネ固定価格買い取り制度(FIT制度)の対象となる5種類の再生可能エネルギー電力(再エネ電力:太陽光発電、風力発電、地熱発電、バイオマス発電、小水力発電)の一つであり、政府が積極的に再生可能エネルギーの導入を支援するために、これらの再エネ電力を、電力会社に一定の価格で買い取ることを義務付けた制度です。


この制度では、年度ごとに決められた価格によって、その後、10年~20年間にわたって、電力会社が買い取らなければならないのです。


<売電のメリットとデメリット>

安定して高値で売れることは、売電の最大のメリットです。


具体的にいえば、住宅用太陽光発電(10kW未満)を例にとると、FIT制度が始まった2012年には、買い取り価格が1kWh当たり42円とされ、この価格は、家庭用電気料金単価が1kWh約24円でしたので、その2倍近い価格でした。


ただし、住宅用太陽光発電の場合は、家庭で消費する以上に発電された太陽光発電を電力会社が買い取る場合に限るという条件つきです。


つまり、「余剰電力」の売電が対象です。


電力会社の買い取り費用は、FIT制度が始まった2012年度で約2500億円だったのが、2016年度では約2兆3000億円と、実に10倍近い急増です。


標準家庭の月額負担額に換算すると、2012年度の66円から2016年度では675円と、ほぼ10倍の増加です。


買い取り費用は今後も増え続け、2030年には3.7兆円~4.0兆円に達すると想定されました。


国はそうした国民負担の増大に危機感を抱き、FIT制度を見直し、2017年4月から新たな改正FIT法を施行しました。


改正法では、数年先の買い取り価格の目標を設定し、住宅用太陽光発電に関しては、順次引き下げ、2020年度以降、早期に売電価格が電力市場価格並みとする目標を示しました。


つまり、電力会社の買電価格は今後とも引き下げられ、2020年以降は市場価格(卸電力市場での取引価格)での取引にするという目標です。


ところで、2009年時点で太陽光発電を設置した家庭では、10年目の2019年には、電力会社の買い取り義務の終了時期を迎えることになります。


2019年以降、毎年、余剰電力買い取り義務終了の太陽光発電が登場します。


出力制御対象の発電設備は、電力会社からの要請があれば売電をストップしなくてはなりません。


発電するエリアや契約する時期によっては、無制限の出力制御要請を受け入れる約束で接続契約を行うことになります。


これは売電によって投資を回収するモデルにはマイナスです。


いずれFIT制度による買い取り価格は、電気代を下回ると見られています。


売電を目的とした施設にとって、FIT制度によって得ていたメリットが下手をするとデメリットとなります。



<自家消費のメリットとデメリット>

売電をせず、自家消費だけで使用するという選択肢も考えられます。


出力制御は売電する電力を対象に行われるものですので、自家消費型のシステムでは、電力会社や電力系統の事情に左右されずに発電しつづけられるので、低リスクと言えます。


自家消費型のシステムには以下に示すように、FIT制度のメリットに代わるいくつかのメリットもあります。


① 最大需要電力の削減で電気代カットが出来ます。

産業用電気料金プランは、年間の最大電力使用量(デマンドといいます)を基準にして決定します。


デマンドが大きいと、基本料金が高くなります。


繁忙期の工場稼働コストや夏季の空調利用が電力需要のピークを押し上げている場合、自家消費型発電システムを導入することで、年間の最大需要電力の削減(デマンドカット)が可能です。


電力消費量の大きい工場などでは大きなコストダウンが見込めます。



② 中小企業の節税対策になります

2017年4月に施行された「中小企業経営強化税制」を利用すれば、自家消費型太陽光発電システムにかかる固定資産税の軽減を図ることが可能です。


10kW以上を生み出す産業用太陽光発電システムは、その利用目的が売電か自家消費かにかかわらず、収益を生み出す「事業用資産」として見なされ固定資産税の課税対象となります。


自家消費型太陽光発電システムは、“生産性を高めるための機械装置”として指定されています。


経営力向上計画に基づいて申請し国の認定を受ければ、即時償却または税額控除(取得価格の10%または7%)のいずれかを選んで適用できる可能性があります。


なお「中小企業経営強化税制」の場合は、即時償却または税額控除いずれかの選択適用が可能です



⓷ 売電型より初期投資の回収が早い可能性もあります。

電気代削減の効果が大きく、補助率の高い補助事業があり、節税にもなるということで、自家消費型太陽光発電は経済的なメリットも大きいのです。


場合によってはFIT制度で売電するよりも初期投資の費用の回収が短くなる場合もあります。


太陽光発電は発電装置の設置場所が建物の屋根など比較的簡単に確保できるため早くから普及しましたが、最近になって注目されているのが小水力発電です。



売電 自家消費 小水力発電



小水力発電の場合は他の再エネ発電とはいささか状況が異なります。


それは以下の事実があるからです。


すなわち、

・太陽光発電や風力発電と比較して 安定性が高く、出力変動が小さい 。

・設備利用率が50~90%程度と高い

・未利用の包蔵出力が大きい(国内 の小水力では、まだ300万kW程度 が手つかず)

・設置面積が少なくて済む(規模の小さな水力発電は、地域の渓流やかんがい用水路、上下水道などの身近な水事情(水量・落差)に応じて柔軟に設置することが可能)


以上を考慮して国はハイドロバレー計画という計画を立てました。

「ハイドロバレー計画」とは、小水力発電所を建設し、この発電所で発生した電力を利用(自家消費)して特色のある産業を興し、地域の活性化と雇用の創出を図るものです。


いま、「ハイドロバレー計画」は、「地域未開発エネルギーの発掘」と「町おこし、村おこし」の大きな可能性を秘め、各地方公共団体の取り組みがスタートしています。


ハイドロバレー計画の実現に当たっては、国が設けた各種補助制度(経済産業省・農林水産省・総務省等)があり、これらを活用することで初期投資の負担を軽減することができます。


そして、小水力発電所は稼働後、地域経済に大きく貢献する施設になるのです。